<令和5年度追跡調査>コロナ禍における住民の皆様の健康状態に関する調査結果 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)
新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の流行は、市民の日常生活や健康に少なからず影響を及ぼしてきました。加えて、医療機関の受診控えや生活習慣の変化等により健康への長期的な影響を及ぼす可能性が指摘されていますが、その実態は不明な点が多くあります。
八尾市は、令和4年度に国の「新型コロナウイルス感染症による他疾患を含めた医療・医学に与えた影響の解明に向けた研究(厚生労働科学研究 令和4年度 研究代表者 門田守人、分担研究者 磯博康)」の一環として、国立国際医療研究センター(現・国立健康危機管理研究機構、以下同じ)と共同で「コロナ禍における住民の皆様の健康状態に関する調査」(アンケート調査)を実施いたしました。
令和5年度は、その追跡調査として、長期的な健康状態や生活への影響に関する調査を行いました。国立国際医療研究センターより、この研究の結果報告がありましたので、市民の皆様に分かりやすくお知らせいたします。
1. 調査の概要
新型コロナに感染した人と感染していない人の健康状態や暮らしについて調査
令和3年3月(第4波)〜令和4年4月(第6波)に新型コロナに感染した人および感染していない人を対象に実施した初回調査(令和4年11月)に回答した11,931人のうち、令和5年8月時点で6〜70歳の八尾市在住者10,843人を対象に追跡調査の案内を郵送し、令和6年1月9日~2月18日にインターネットを用いて健康状態や暮らしについてのアンケート調査を行いました。回答率は、成人(19~70歳)64.8%、小児(6~18歳)69.2%でした。
2. 成人(19歳から70歳)の主な結果
新型コロナに感染した人(感染者)3,019人および感染していない人(非感染者)1,314人について分析した結果は以下のとおりです。
感染者のうち、感染後に出現し、少なくとも2か月以上続き、感染から3か月経った時点でもみられる症状(罹患後症状)があった人の割合は12.9%でした。非感染者の2か月以上続く症状の割合(6.8%)に比べて約2倍多い結果でした。
感染から1年半時点でも罹患後症状が続いている方は5%
図1は、感染者3,019人のうち、初回感染から18か月(1年半)以上追跡した2,314人(76.6%)における罹患後症状について示しています。
感染3か月後まで持続した症状で多く見られた症状は、疲労感・倦怠感、睡眠障害、集中力低下、呼吸困難、脱毛、ブレインフォグでした。
いずれか1つ以上の罹患後症状を有していた方は、感染3か月後時点では14.3%でしたが、経時的に低下し、18か月(1年半)後も持続している方は5.4%でした。
感染から18か月(1年半)以上経過した2,314人の主観的経済状況について、「悪くなった」または「とても悪くなった」と回答した人の割合は、罹患後症状が持続している人では36.3%、罹患後症状が持続していない人では23.1%、罹患後症状がない人では19.5%であり、長期的に罹患後症状が続いている⼈では、経済状況に影響がある傾向が示されました。ただし、コロナ渦における主観的経済状況の変化は、罹患後症状の持続以外にもその他の様々な要因が関与している可能性があるため、解釈には留意が必要です。
3. 小児(6歳から18歳)の主な結果
新型コロナに感染した人(感染者)1,534人および感染していない人(非感染者)555人について分析した結果は以下のとおりです。
感染者のうち、感染後に出現し、少なくとも2か月以上続き、感染から3か月経った時点でもみられる症状(罹患後症状)があった人の割合は5.7%でした。非感染者の2か月以上続く症状の割合(2.0%)に比べて約3倍多い結果でした。
感染から1年半時点でも罹患後症状が続いている方は1%
図2は、感染者1,534人のうち、初回感染から18か月(1年半)以上追跡した1,124人(73.3%)における罹患後症状について示しています。
感染3か月後まで持続した症状で多く見られた症状は、疲労感・倦怠感、咳嗽、頭痛、ブレインフォグでした。
いずれか1つ以上の罹患後症状を有していた方は、感染3か月後時点では6.6%でしたが、経時的に低下し、18か月(1年半)後も持続している方は1.0%でした。
感染から18か月(1年半)以上経過した1,124人の生活状況について、罹患後症状が持続しているお子さんのうち、半数が現在も生活上に中等度以上の支障をきたしていると回答しました。
新型コロナに感染後、罹患後症状が持続しているお子さんにおいて、過去1年間で15~30日の欠席と回答した人が20.0%と、罹患後症状が持続していないお子さんの3.3%と比べて多くみられました。また、感染前と比べて遅刻や早退が増えたと回答した人も20.0%と、罹患後症状が持続していないお子さんの7.8%や罹患後症状がないお子さんの3.1%と比べて多くみられました。
4. 報告書など
調査の方法や結果の詳しい内容は以下の報告書をご覧ください。
1) 国立国際医療研究センター国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センター編.コロナ禍における住民の皆様の健康状態に関する調査報告書‐大阪府八尾市‐.令和7年3月発行.
2) 第88回厚生科学審議会感染症部会 資料
3) 令和6年度厚生労働行政推進調査事業費補助金 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業 一類感染症等の患者発生時に備えた臨床対応及び行政との連携体制の構築のための研究(研究代表者 加藤 康幸).新型コロナウイルス感染症(COVID-19) 診療の手引き 罹患後症状のマネジメント第 3.1 版.2025年2月26日発行.
同手引きの中で、八尾市の調査結果が紹介され、罹患後症状に悩む患者さんの診療や相談にあたる、かかりつけ医等や医療従事者、行政機関に活用されています。
4) 厚生労働科学研究費補助金 疾病・障害対策研究分野 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究(研究代表者 高橋 雅英).新型コロナウイルス感染症による医学・医療・健康に与えた中長期的影響の調査研究-今後の保健・医療体制整備の観点から-.2025年4月11日公開.
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