危険物が追加されました
1 危険物の追加について(炭酸ナトリウム過酸化水素付加物)
「危険物の規制に関する政令」及び「危険物の規制に関する規則」の一部が改正され、これまで非危険物として消防法令等の規制対象外であった「炭酸ナトリウム過酸化水素付加物」(以下「過炭酸ナトリウム」といいます。)が、消防法上の第一類の危険物に追加されました。過炭酸ナトリウムは、酸素系の漂白剤として広く一般に流通しており、貯蔵又は取扱う数量に よっては、消防法に基づく市町村長等の許可又は八尾市火災予防条例に基づく少量危険物貯蔵取扱の届出が必要となります。
2 過炭酸ナトリウムについて
⑴ 用途
一般的には「過炭酸ナトリウム」、「過炭酸ソーダ」、「酸素系漂白剤」と呼ばれ、これらを主成分とする商品は、スーパー やホームセンター、薬局などで販売されており、次のような商品の一部が該当します。
- 漂白剤
- 除菌剤
- 消臭剤
- 食器洗い乾燥機用洗浄剤
- パイプクリーナー
- 洗濯槽クリーナー
※ 代表的な商品を示しましたが、同じ用途の商品であっても過炭酸ナトリウムを主成分とするものとしないものがありますので、詳しくは、
「⑷性質の確認方法」をご覧ください。このように、今回の法令改正で第一類の危険物に追加される過炭酸ナトリウムは、生活必需品として多方面で使われています。
⑵ 危険性
今回の法令改正により過炭酸ナトリウムは、
第一類の危険物に追加されました。
- 一般的には不燃性物質ですが、他の物質を酸化する酸素を分子構造中に含有しており、加熱、衝撃、摩擦等により分解して酸素を放出するため、周囲の可燃物の燃焼を著しく促します。このことから酸素供給体(強酸化剤)の役目をし、可燃物、有機物その他酸化されやすい物質との混合物は加熱、衝撃、摩擦などにより爆発する危険性があります。
⑶ 今後の規制
危険物は、貯蔵又は取扱う数量により、消防法若しくは八尾市火災予防条例に定める基準に従わなければなりません。過炭酸ナトリウムは、第一類の危険物に追加されましたが、性質の違いによって規制を受ける基準となる数量(指定数量)が異なります。性質ごとの指定数量は次のとおりです。
指 定 数 量 表
性 質 ご と の 指 定 数 量
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性 質
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指定数量
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規 制 概 要
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第一種
酸化性固体
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50
キログラム
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50キログラム以上貯蔵又は取扱う場合には、消防法に基づく市町村長等の許可が必要。
10キログラム以上50キログラム未満貯蔵又は取扱う場合には、八尾市火災予防条例に基づく届出が必要。
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第二種
酸化性固体
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300
キログラム
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300キログラム以上貯蔵又は取扱う場合には、消防法に基づく市町村長等の許可が必要。
60キログラム以上300キログラム未満貯蔵又は取扱う場合には、八尾市火災予防条例に基づく届出が必要。
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第三種
酸化性固体
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1,000
キログラム
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1,000キログラム以上貯蔵又は取扱う場合には、消防法に基づく市町村長等の許可が必要。
200キログラム以上1,000キログラム未満貯蔵又は取扱う場合には、八尾市火災予防条例に基づく届出が必要。
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※ 八尾市火災予防条例により規制を受ける数量は、指定数量の5分の1以上指定数量未満です。
貯蔵又は取扱う「過炭酸ナトリウム」が、上記のいずれの性質を有するものかは、個別に判断しなければなりません。
第一類の危険物は、固体であり、その形状が粉末状、顆粒状、フレーク状などによって性質が異なる可能性があるためです。
⑷ 性質の確認方法
第一類の危険物に該当するものか、該当するとしてどのような性質を有するものかを確認する方法は、容器に付されている表示で確認することができます。危険物を入れる容器には、消防法令により、容器の外部に品名、危険等級及び化学名、危険物の数量、注意事項を表示することが義務付けられています。
なお、当該改正により過炭酸ナトリウムを貯蔵する容器は、消防法令の基準に適合する容器としなければならなくなりま したが、 容器に危険物である旨の表示を行うことについては、
平成25年12月31日までの間は、表示しなくても良いこととされています。
このことから、平成24年7月1日以降、すぐに容器への表示が行われない可能性がありますので、「過炭酸ナトリウム」、「過炭酸ソーダ」、「酸素系漂白剤」などの表示がされている商品が危険物に該当するか否かは製造メーカーに確認するようにしてください。
容 器 へ の 表 示 例
品名
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酸 素 系 漂 白 剤
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成分
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過炭酸ソーダ(第一類:第三種酸化性固体)(危険等級3)
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数量
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200グラム
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用途
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食器洗い乾燥機用洗浄剤
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その他
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火気に近づけないでください。衝撃を与えないでください。
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⑸ 規制時期
平成24年7月1日(施行日)から規制を受けます。ただし、経過措置があります。
- 当該改正により、新たに消防法に基づく市長の許可を受けなければならない施設(以下「新規施設」という。)は、平成24年12月31日までに許可を受けなければなりません。
また、平成24年7月1日現在、既に許可を受けている危険物施設(以下「既存施設」という。)で過炭酸ナトリウムが危険物に追加されることに伴い、位置、構造及び設備の変更に係る 許可を受ける必要がある場合も、平成24年12月31日までに変更許可を受けなければなりません。
- 当該改正により、消火設備及び警報設備の設置又は改修等が必要となる新規施設及び既存施設については、平成25年12月31日までの間は従前のとおりです。
- 当該改正により、掲示板の改修等が必要となる既存施設については、平成24年9月30日までの間は従前のとおりです。
- 既に許可を受けている危険物施設のうち法令改正により、品名、数量及び倍数が変更となる危険物施設は、平成24年9月30日までに「品名、数量、倍数変更届出」を行なわなければなりません。
- 当該改正により、新たに指定数量の5分の1以上指定数量未満の数量を貯蔵又は取扱うこととなる施設についても、八尾市火災予防条例に規定する位置、構造及び設備の基準等に従わなければなりませんが、これについても所要の経過措置を設けています。
⑹ 危険物取扱者の要否
- 消防法第13条において危険物施設で危険物を取扱う場合には、甲種危険物取扱者又は乙種危険物取扱者(一部の危険物については、丙種危険物取扱者も可能。)若しくはこれらの者の立会いを受けている者でなければ取り扱うことはできません。新規施設及び既存施設において過炭酸ナトリウムを取扱う場合には、甲種危険物取扱者又は乙種(1類)危険物取扱者若しくはこれらの者の立会いを受けている者でなければ取扱うことはできません。
危険物施設によっては、危険物保安監督者を選任しなければなりません。
例えば、屋内貯蔵所において第1類の危険物を貯蔵している場合には、貯蔵する倍数に関係なく危険物保安監督者の選任が必要となります。
なお、危険物保安監督者として選任されるには、危険物施設における6ヶ月以上の実務経験が必要となりますが過炭 酸ナトリウムは第1類の危険物に追加されたため、第1類の危険物の取扱作業に6ヶ月以上従事した者でなければ、その要件を満たしたことにならず、危険物保安監督者には選任できないことになります。
しかし、既存施設のうち、今回の改正によって新たに許可を受けなければならない危険物施設については、平成25年12月31日までの間は、当該既存施設において危険物の取扱い業務に6ヶ月以上従事している者に限り、その者を危険物保安監督者に選任することができることとされています。
ただし、その者は甲種危険物取扱者又は乙種(1類)危険物取扱者でなければなりません。あくまでも実務経験についての経過措置であることに注意してください。
⑺ Q&A
Q1 市販されている漂白剤(過炭酸ナトリウム)を購入して家で使いたいのですが、法令改正によって規制を受けますか。
A1 ホームセンターなどで販売している商品を家庭に置いておく程度であれば、規制は受けません。
仮に第一種酸化性固体に該当する商品であっても、
八尾市火災予防条例の規制を受ける数量は10キログラム以上となります。
しかし、大量に購入して物置などに保管している場合などは、規制を受ける可能性が
ありますので、注意が必要です。
Q2 現在、自社の倉庫内に過炭酸ナトリウムのみを500キログラム保管しています。法令改正後、どのような規制を受けますか。
A2 まずは、貯蔵する過炭酸ナトリウムが第一種、第二種、第三種のいずれに該当するか確認してください。
- 第一種酸化性固体に該当した場合、指定数量は50キログラムですから、指定数量の10倍の危険物を貯蔵する屋内貯蔵所として、消防法に基づき市長の許可を受けなければなりません。また、その期限は平成24年12月31日までとなります。
- 第二種酸化性固体に該当した場合、指定数量は300キログラムですから、指定数量の約1.6倍の危険物を貯蔵する屋内貯蔵所として、消防法に基づき市長の許可を受けなければなりません。また、その期限は平成24年12月31日までとなります。
- 第三種酸化性固体に該当した場合、指定数量は1,000キログラムですから、指定数量の5分の1以上指定数量未満の危険物を貯蔵する少量危険物貯蔵
取扱所として、八尾市火災予防条例に基づき届出を行わなければなりませんが、その期限については、所要の経過措置がありますので、詳しくは、消防本部予防
課危険物保安係にお問い合わせください。
Q3 既に許可を受けている屋内貯蔵所に過炭酸ナトリウムも保管しています。法令改正後、どのような規制を受けますか。
A3 過炭酸ナトリウムは第一類の危険物に該当するため、貯蔵する危険物の品名、数量及び倍数が変わることによる位置・構造・設備の改修が必要とな
る可能性があります。
例えば、過炭酸ナトリウムが第一類の危険物に追加されたことで、屋内貯蔵所に貯蔵する危険物の合計の指定数量が10倍以上となった場合、保有空地を大きくすることや大型消火器の設置、避雷設備の設置などの変更が生じる可能性があります。
また、他の危険物との同時貯蔵の可否等についても
考慮しなければなりません。同一の貯蔵所(耐火構造の隔壁で完全に区分された室が2以上ある貯蔵所においては、同一の室。)では、類が異なる危険物を同時
に貯蔵することは原則できません。
ただし、例外として、第一類の危険物(アルカリ金属の過酸化物又はこれを含有するものを除く。)と第五類の危険物、第一
類の危険物と第六類の危険物は、類ごとに取りまとめて貯蔵し、かつ、相互に1メートル以上の間隔を置く場合には認められます。
施設の改修期限は、平成24
年12月31日までとなります。さらに、前述したとおり、危険物保安監督者の選任が新たに必要となる場合があります。