「彼らだからこそ切れた木がある」――万博大屋根リング加工に挑んだ、八尾市校務員たちのプロフェッショナル魂【前編】
大阪・関西万博の会場を彩ったシンボル「大屋根リング」。その貴重な木材が八尾市に譲渡され、現在は市立小中学校のほか、市役所本館や総合体育館、生涯学習センターなど、市内のさまざまな場所に展示されています。
実は、この巨大な木材をカットし、温かみのある展示品へと仕上げたのは、八尾市内の小中学校に1名ずつ配置している「学校校務員」たちです。
市全体のビッグプロジェクトを裏で支えた校務員たちの、緊迫の瞬間から始まった挑戦の軌跡を、前編後編に分けてタイムラインで追いました。
今回は前編です。
前編
【5月】プロジェクト始動と「SOS」
万博から譲渡されたのは、縦横42cm、長さ6メートルにも及ぶ巨大な柱。市の万博プロジェクトチームは、これを市内各所へ配分し展示する計画を立てましたが、大きな壁にぶつかります。
これほど巨大な木材をカットするには「チェーンソー」が不可欠。しかし、業務でのチェーンソー使用は“特別教育(講習)を修了した資格保有者”にしか許されていません。市役所内で「誰がこれを切れるのか…」。
白羽の矢が立ったのが、日頃から学校の樹木剪定などで技術を磨き、資格を持つ「学校校務員」たちでした。市の万博プロジェクトチームからの依頼を受け、校務員グループの代表者たちが立ち上がりました。
【6月】プロジェクト存続をかけた「運命の試し切り」と、もう一人の立役者
大阪・関西万博の会場から、八尾市へ――。
この壮大な移送プロジェクトの先陣を切ったのが、八尾市土木管理事務所の職員たちでした。
重さ数百キロ、長さ6メートルにも及ぶ巨大な柱は、一般の車両では到底運べない規格外のサイズです。普段は道路や河川の維持管理など、市民の安全な暮らしを文字通り足元から支えている土木管理事務所のプロフェッショナルたちが、その卓越した輸送技術とノウハウを結集。細心の注意を払いながら、万博会場から傷一つなく安全に運び込みました。彼らの迅速で確実な仕事がなければ、このプロジェクトはスタートラインに立つことすらできませんでした。
そしてこの日、展示プロジェクトの運命を決める「試し切り」が行われました。
実はこの日、「校務員の持つチェーンソー技術で、本当にこの強固な万博の巨大木材をカットできるのか」という実証が行われ、もしここで「不可能」と判断されれば、この展示プロジェクト自体が頓挫してしまうという状況でした。
現場には、教育長や市の万博プロジェクトチームの責任者も足を運び、固唾をのんで見守りました。静まり返る現場に、チェーンソーの激しいエンジン音が響き渡ります。
代表校務員の手によって、硬い巨大木材を切り終えた瞬間、現場は大きな安堵に包まれました。「これならいける!」
事が前に進み出した嬉しさと同時に、立ち会った全員が「校務員さんたちの技術は本当にすごい。これなら任せられる!」と、その高いプロ意識と実力を再認識し、確固たる信頼を寄せた決定的な瞬間でした。
【7月】学校校務員たちによる「合同技術確認」
「校務員の力で成し遂げる」と決まったプロジェクト。市内各エリアの校務員グループ代表者たちが集結し、熟練者から全体へと技術確認、加工方法の提案が行われました。熱中症対策として長時間の作業を避け、午前と午後の二部制をとりました。
一歩間違えれば大怪我につながるため、現場にはほどよい緊張感が漂いました。
「チェーンソーを使うならばどう切るか?」「丸ノコでガイドラインを入れてからノコギリで切るか?」など、限られた道具の中で安全かつ正確に作業するためのアイデアが次々と交わされました。
その後、カットした重さ数十キロにもなる木材を公用車に積み込みます。傷がつかないよう保護材を敷いて大切に運ぶなど、細やかな配慮も光りました。ここから木材は、各グループの作業校へと運ばれていきました。
また、この日に図書館や青少年会館などに展示する木材も、加工されました。
【夏休み】1校サイズに「切り出し」と、こだわりの「加工」
ここからは、後編に続く
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