オイルを拭き取ったウエスから出火?
消防隊が消火活動を実施した後、出火原因を究明するため調査を行ったところ、
亜麻仁(アマニ)油という普段聞きなれない油を主成分としたオイルが染み込んだ
ウエスが自然発火したのではないか?と推測されました。
☆亜麻仁油ってなぁに?
みなさん、亜麻仁油(アマニ油)って知ってますか??
亜麻仁油とは「アマ」という植物の種子から抽出される乾性油(かんせいゆ:空気に触れると固まる油)で、主に食用油や油絵具の固着剤として使用
されます。また、加熱すると酸化しやすく、木製品(家具類等)や皮革の仕上げにも使われる油です。
☆亜麻仁油って危険なの?
いえいえ、食用になったりする油ですので危険というわけではありません。
亜麻仁油を含むいくつかの植物油(ケシ油、桐油等)は乾性油と呼ばれ、その油が乾燥する過程で空気中の酸素と結合し酸化反応を起こします。
その際、微量の反応熱が発生します。これらの油を含んだウエスを丸めたり、重ねたりして放置すると、酸化反応熱が蓄熱され、逃げ場を失った熱は
次第に高温となり、発火温度にまで達する危険性があります。
※発火温度の例 木材 250~260℃ 新聞紙 290℃ さらし、木綿 495℃ てんぷら油 360~370℃
☆じゃあどうやって処分したらいいの?
通常、処分の方法に関する注意事項が塗料缶本体等に記載されています。
焼却処分あるいは多量の水に浸した状態で処分するなど、注意事項をよく守ってください。
☆こんな事ってよくあるの?
他市において、アロマテラピーやマッサージ、エステ等で使用したオイルが染み込んでいるタオルを洗濯し、乾燥機に入れて乾燥させ、そのまま数時間
放置したところ蓄熱し、発火。乾燥機が焼損するといった火災が発生しています。
本当に発火するか火災原因調査のため、燃焼実験開始!!
と、言うことで、消防署において燃焼実験を実施しました。
実験1
ダンボール箱内において亜麻仁油約150ccを3枚のウエスに染み込ませ、他の可燃物と一緒に放置した場合、常温下においてどれほどの温度上昇が
見られるか??
結果・・・常温下においては実験開始5時間48分後に120℃までの温度上昇が見られたが、それ以後下降してきたため、実験は終了。
発火するまでには至りませんでした・・・
実験2
ダンボール箱内において亜麻仁油約150ccを3枚のウエスに染み込ませ、ドライヤーを熱源として60℃~70℃の高温室に設定し放置した場合、
どれほどの温度上昇が見られるか??
結果・・・
実験開始1時間30分でウエスの表面温度は100℃に
達し、白煙が上昇、表面が黒く焼け焦げてきました!
実験開始2時間05分後には表面温度が330℃、
内部温度は400℃以上に達した。
ついに発火!!
その瞬間の撮影に成功しました!!
発火の瞬間を動画でご覧ください!!
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発火の瞬間
- 発火映像
ウエスが自然発火した瞬間の映像です。
燃焼実験を終えて・・・
今回の実験では気象状況、気温、油の量等発熱しやすい環境に設定し、自然発火させることに成功しましたが、必ずしも同じ結果になるとは限りません。
しかし、亜麻仁油を主成分とするワックスやオイル等を含んだ布、ウエス等は処分の仕方を間違えると発熱し、自然発火する危険性があるということが
分かりました。処分する場合、「大量の水に浸す」、「焼却処分する」といった方法がありますが、製品缶本体に「注意事項」として処分の方法が書かれて
いますので必ず読んでから処分するようお願いします。
みなさんの生命、身体、財産を火災から守るために・・・