平成29年度から実施されるおもな税制改正について
給与所得控除の見直し(上限額の引き下げ)
給与所得控除の見直しが行われ、給与所得控除の上限額が段階的に引き下げられることになりました。
給与所得控除上限額の変更 | 現行 平成26~28年度分 (平成25~27年分) | 平成29年度 (平成28年分) | 平成30年度 (平成29年分)以後 |
上限額が適用される 給与収入額 | 1,500万円 | 1,200万円 | 1,000万円 |
給与所得控除の 上限額 | 245万円 | 230万円 | 220万円 |
給与所得者の特定支出控除の見直し
給与所得控除の上限額引き下げに伴い、一律に前年中の特定支出合計額が、給与所得控除額の2分の1に相当する金額を超える場合は、その超える金額を給与所得控除額に加算します。
給与所得者の特定支出控除額の変更給与収入金額 | 適用判定の基準となる特定支出の合計額 |
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現行(平成28年度まで) | 改正後(平成29年度以後) |
1,500万円以下 | 給与所得控除額×1/2 | 給与所得控除額×1/2 |
1,500万円超 | 125万円 | 給与所得控除額×1/2 |
特定支出控除とは、給与所得者が支出する次に掲げる支出のうち、一定のものです。
1 一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出(通勤費)
2 転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出(転居費)
3 職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出(研修費)
4 職務に直接必要な資格を取得するための支出(資格取得費)
※平成26年度以後、弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費も特定支出の対象となりました。
5 単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出(帰宅旅費)
6 次に掲げる支出(その支出の額の合計額が65万円を超える場合には、65万円までの支出に限ります。)で、その支出がその者の職務
の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもの (勤務必要経費)
(1) 書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用(図書費)
(2) 制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用(衣服費)
(3) 交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他
これらに類する行為のための支出(交際費等)
※6の支出については、平成26年度以後、特定支出の対象となりました。
日本国外に居住する親族に係る扶養控除等の書類の添付等義務化
日本国外に居住する親族(国外居住親族)に係る扶養控除等の適正化の観点から、所得税の確定申告や個人住民税の申告等において、国外居住親族に係る扶養控除・配偶者控除・配偶者特別控除・障害者控除(16歳未満の扶養親族含む)の適用を受ける方は、「親族関係書類及び送金関係書類を添付又は、提示をしなければならない」こととされました。
平成29年度以後の個人住民税より適用されます。
※給与等若しくは公的年金等の源泉徴収又は給与等の年末調整の際に源泉徴収義務者に提示し、又は提示したこれらの書類について
は、確定申告書、市・府民税の申告書に添付又は提示を要しないこととされている。
※国外居住親族が16歳未満であっても、市・府民税の非課税限度額の適用を受ける方やその親族に係る障害者控除を受けようとする方
は、上記の関係書類の添付又は提示が必要となります。
「親族関係書類」とは
次の(1)又は(2)のいずれかの書類(当該書類が外国語で作成されている場合には翻訳文を添付しなければなりません)で、国外居住親族が納税者の親族であることを証するものをいいます。
(1)納税義務者の国外居住親族が日本人である場合
・戸籍の附表の写し、その他の国又は地方公共団体が発行した書類及び当該国外居住親族の旅券の写し
(2)納税義務者の国外居住親族が外国人である場合
・外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類
※その国外居住親族の氏名、生年月日及び住所(居所)の記載があるものに限ります。
「送金関係書類」
その年における次の(1)又は(2)の書類(当該書類が外国語で作成されている場合には翻訳文を添付しなければなりません)で、その国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払いを必要の都度行ったことを明らかにするものをいいます。
(1)金融機関の書類又はその写しで、金融機関が行う為替取引により、納税者から、その国外居住親族に支払いをしたことを明らかにする
書類(送金依頼書など)
(2)いわゆるクレジットカード発行会社の書類又はその写しで、クレジットカード発行会社が交付したカードを提示してその国外居住親族が
商品等を購入したこと、及びその商品購入代金に相当する額を納税者から受領したことを明らかにする書類(クレジットカード利用明細
書など)
金融所得課税の一体化について
公社債の課税については、特定公社債等と一般公社債等に区別され、税負担に左右されずに金融商品を選択できるよう、株式等の課税方式と同一化することとなりました。また、特定公社債等の利子及び譲渡所得並びに上場株式等の金融商品間の損益通算範囲を拡大し、3年間繰越控除ができることとされました。
なお、これまで可能であった上場株式等と非上場株式等は別々の分離課税制度となり、両制度での損益通算はできなくなりました。