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死亡のリスクが高い健診所見は?📊

[2023年4月10日]

ID:68145

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 市民の健康寿命の延伸を図るための基礎資料の一つとして、健診所見と死亡リスクとの関連の分析結果をお示しいたします。

 2008~2012年度に特定健診を受診した八尾市国民健康保険加入者(40~74歳: 27,804人)を分析の対象者としました。住民異動情報と厚生労働省より提供を受けた人口動態調査情報(死因統計情報)をもとに、健診を受診してから2018年末までの死亡状況を把握しました。これらの情報をもとに、主な健診所見の死亡リスクを検討しました。

糖尿病と高血圧の予防対策、禁煙対策が寿命延伸に大きく寄与する

 健診受診後、約10年間で亡くなられた方について、以下の危険因子が明らかになりました。

高血圧(収縮期血圧が140mmHg以上、拡張期血圧が90mmHg以上、または高血圧治療中)

 *血圧が高め(収縮期血圧が120~139mmHg、拡張期血圧が80~89mmHg)でもリスクは上がる

○糖尿病(空腹時血糖値126mg/dl以上、非空腹時血糖値200mg/dl以上、HbA1cが6.5%以上、または糖尿病治療中)

○善玉(ぜんだま)のHDLコレステロール値が低い(40mg/dl未満)

腎臓(じんぞう)の働きが悪い(尿蛋白が2+以上、慢性腎不全の診断、または人工透析等で治療中)

○やせ過ぎ(体格指数BMIが18.5kg/m²未満)

  BMIの計算方法:体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)  例)体重45kg÷身長1.6m÷身長1.6m=BMI 17.6

タバコを吸っている

○脳卒中にかかったことがある


図1 死亡のリスクが高い危険因子

 

 図1に示すように、糖尿病は1.88倍(糖尿病がない人と比べて)、喫煙は1.87倍、やせ過ぎは1.82倍、腎機能障害は1.72倍、高血圧は1.67倍と死亡リスクが大きく高まります。

 糖尿病になると動脈硬化が進み、脳卒中や心筋梗塞などが起こりやすくなります。また、糖尿病による3大合併症(糖尿病網膜症、糖尿病神経障害、糖尿病腎症)は、悪化すると失明や足の切断、透析が必要になるなど、日常生活に大きな支障を及ぼします。さらに、糖尿病があると、膵臓がんや肝臓がん、大腸がんにかかりやすいことも報告されています。こうした病気によって死亡リスクが高まると考えられます。糖尿病の予防は八尾市の健康まちづくり計画の重点テーマとなっていますので、市が行う様々な糖尿病予防の取り組みを活用いただくとともに、食べ過ぎや運動不足などの生活習慣にならないように注意してください。

  *八尾市保健センターの糖尿病予防教室「八尾スマートライフ塾」(別ウインドウで開く) をぜひ、ご活用ください!


 喫煙は、肺がん、胃がん、食道がん、子宮頚がんなどの様々ながん、脳卒中や心臓病などの循環器疾患、さらには肺気腫や喘息などの慢性閉塞性肺疾患(COPD)を引き起こすなどにより、早期に亡くなるリスクが高まると考えられます。喫煙している方は、禁煙に取り組むことが死亡のリスクを下げるために重要です。禁煙後1~9か月で咳や息切れの症状が減少すること、禁煙後1年で心臓病のリスクが約半分に下がり、禁煙後10年で肺がんのリスクが喫煙者と比べて約半分に低下することが明らかになっています。

  *八尾市保健センターの禁煙教室「禁煙塾」(別ウインドウで開く) をぜひ、ご活用ください!


 やせすぎは、筋肉の減少や栄養不足、及び他の病気が隠れている可能性が考えられます。筋肉量や筋力が少なすぎると、身体活動量が減少し、転びやすくなるなどしてフレイル(要介護状態の手前の状態)になる可能性が高まります。栄養不足となると、骨粗鬆症が進行して骨折や免疫力が低下し、肺炎や感染症にかかりやすくなる可能性があります。一方で、日本人を対象とした他の研究から、BMIが27 kg/m2を超える肥満の人は、死亡のリスクが高いことが報告されていることから、やせすぎず太りすぎずの適正体重を維持することが重要です。

 腎機能障害については、腎不全になって寿命が縮まるだけでなく、脳卒中や心臓病の危険も高まります。もともと腎臓が弱い体質(遺伝を含む)に加えて、糖尿病と高血圧が腎機能障害の大きな原因となります。

 高血圧については、血圧が高い状態が続くと、脳卒中や心臓病など循環器系の病気の危険が大きく高まります。今回、高血圧の一歩手前であるやや高めの血圧でも死亡するリスクが高くなることもわかりました。したがって、血圧が上がる前の段階から、減塩や節酒、運動、肥満防止など生活習慣に気をつけて、少しでも血圧が上がらないようにすることが重要です。


 次に、それぞれの危険因子が今回の対象者全体の死亡に寄与する割合を算出したところ、図2に示す通り、高血圧の寄与割合が約25%と最も高い結果となりました。これは、高血圧にかかっている人の割合が最も多いためです。次いで、喫煙と糖尿病の寄与割合がそれぞれ15%、12%と比較的大きく、高血圧、喫煙、糖尿病を合わせると約52%の寄与割合となりました。すなわち、高血圧、糖尿病、喫煙への対策により、約半数の早期死亡が予防可能と推計されたことから、高血圧と糖尿病の予防対策、及び禁煙対策を進めていくことが本市の寿命延伸に大きく貢献すると考えられます


図2 死亡全体に対する各危険因子の寄与割合



 

<参考文献>

1. 糖尿病と癌に関する委員会:糖尿病と癌に関する委員会報告. 糖尿病 56: 374, 2013

2. World Health Organization. A Guide for tobacco users to quit. 2014.

3. Sasazuki S, et al. J Epidemiol. 2011;21:417-30.

 

<学術発表>

松村拓実、北村明彦、羽山実奈、髙山佳洋、田中麻理、村木功、白井こころ、今野弘規、髙田碧、清水悠路、岡田武夫、木山昌彦、磯博康.中年期と高齢前期における死亡リスクの検討.第33回日本疫学会総会(浜松).口演(オンデマンド).R5.2.1-3.


 

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八尾市健康福祉部健康まちづくり科学センター

電話: 072-994-0665

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