IHクッキングヒーターの思わぬ発火事故!(事例に学ぼう)
IHクッキングヒーターに起因する発火事故が発生しました。
IHクッキングヒーターの上にグリル鍋を置いた状態で加熱をしてしまったことが発火に繋がったようです。
写真は発火事故現場の状況です。
関係者からの証言により事故発生時の状況を再現しました。
(鍋は取り外しています。)
写真は発火する前の状況です。
そもそもIHって?
IHクッキングヒーターは、別名「電磁調理器」と呼ばれており、右の写真のように卓上用の移動式タイプ(写真左)や据え置きタイプ(写真右)がある。
IHクッキングヒーターは、ガラス製トッププレートの下にドーナツ状の磁力発生コイルがあり、これに電気を流すと磁力線が発生します。その磁力線が、トッププーレートを通じて上に載せた鍋底そのものを発熱させるという仕組みになっています。
また、IHクッキングヒーターは磁力線により加熱をするため、使用する鍋は磁力に反応する鉄系の鍋でなければなりません。
IHクッキングヒーターって危険?
様々な安全機能を備えており火を使わずに加熱することができる安全性の高い調理器具です。
安全機能例
- 温度が上がり過ぎると自動で通電を停止する。
- 鍋を置いていない時や使えない鍋では加熱しない。
- 切り忘れ防止(一定の時間で通電を停止)
ただし、使い方を誤れば発火の危険があります。
じゃあ、なぜ発火事故が起こったの?安全機能は?
発火事故の状況を分析すると…
- グリル鍋の外枠はプラスチック製。
- グリル鍋には脚があるためIHクッキングヒーターのトッププレートと鍋底が接していない。
- 唯一、接しているグリル鍋の脚はゴム製
鉄系以外の素材にも加熱するの?接していなくても加熱するの?
安全装置を調べてみました。
鉄系ではないアルミ鍋で加熱したところ…加熱しない!
安全装置は正常に働いている!
原因究明のため実験を行いました。
実験1 発火事故再現実験
発火事故を再現し実際に加熱しました。
加熱開始10秒後 白煙が発生。
加熱開始85秒後 発火に至りました。
その後も、燃焼は継続されました。
再現実験
燃えたグリル鍋の底は丸く焼け抜けていました。(写真左 グリル鍋裏面)
ここには遮熱板として「ガルバニウム鋼板」という鉄系の鋼板(写真右)が取り付けられています。(グリル鍋の底部から約10mmの位置)
この鋼板に反応したのか?どうか?
ということは多少の隙間があっても、鉄系の素材であれば鍋と認識し加熱をするのか?どうか?
この疑問を解決するために更に実験を行いました!!
実験2 実験1をふまえIHクッキングヒーターのトッププレートに金属を近づけた時、発熱するのか。発熱するのであれば、どれくらいの距離で発熱するのかを調べました。
実験は上の写真のように行いました。
ガルバニウム鋼板(以下「鋼板」)の下に木片やアクリル板を置き、IHクッキングヒーターと鋼板が接していない状態で加熱します。
(鋼板は実際にグリル鍋に使用されているものです。高さは50mmから始め、1mm単位で近づけます。)
50mmから16mmは安全装置が作動し、鋼板に反応せず加熱はしませんでした。
しかし、15mmでは鋼板に反応し、加熱を続け47秒で発煙、57秒では鋼板の温度は300度に達し、鋼板の下に敷いていたアクリル板が発火しました。
実験結果からIHクッキングヒーターのトッププレート上に高さ15mm以内であれば、鉄系の金属を近づけると、鍋等が置かれていると認識してしまい、加熱することが判明しました。
検証実験
事故を防ぐためには!!!
取扱説明書を良く読み、正しく使用しましょう!
IHクッキングヒーターに関係する事故の多くは誤った使用方法によるものです。
取扱説明書には誤った使用をすれば事故や発火に繋がることが明記されています。
今回、使用していたIHクッキングヒーターの取扱説明書にも、「トッププレート上に鍋以外のものを置かないでください」と注意書きされていました。
IHクッキングヒーターは簡単で便利な調理器具です。正しく使用していただき、事故を起こさないようお願いいたします。
みなさんの生命、身体、財産を守るために…
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