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健康まちづくり計画に関わるデータ分析結果

[2022年4月20日]

ID:62747

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 市民の健康寿命の延伸と地域における健康コミュニティづくりの推進のための「八尾市健康まちづくり計画~健康日本21八尾第4期計画及び八尾市食育推進第3期計画」を令和4年3月に策定いたしました。本計画の基礎となったデータ分析は、全市民を対象にした死亡統計、抽出調査による市民アンケート、そして、介護保険情報、国民健康保険関連情報(特定健診、医療費)をもとに多角的に実施いたしました。主な結果は以下の通りです。

1.本市の死亡原因の特徴~市民がさらに長生きするためには~


 本市においては、令和元(2019)年に2,902人の方がお亡くなりになりました。死亡原因の内訳をみると、悪性新生物(がん)の割合が最も大きく、次いで心疾患、脳血管疾患となっており、これらの3大疾病で全体の半数以上を占めていました。


 全国と比較した場合の本市の特徴は、平成25(2013)~29(2017)年の時点では、男女ともに悪性新生物(がん)、心疾患、肝疾患、腎不全による死亡比が高いことです。悪性新生物については、胃がん、肝及び肝内胆管のがん、気管・気管支及び肺のがんの死亡比が全国に比べて高いことが示されています。


 本市において心疾患の死亡比が高い理由を調べたところ、「心不全」という死因名が多いことがわかりました。この解釈には注意を要します。例えば、かかりつけ医が無くて自宅でお亡くなりになった場合、本来の病気が不明のままで「心不全」という死因名がつけられることもありますので、本当に心臓病が原因で亡くなったかどうかの判断は困難です。

 一方、主な心疾患の一つである急性心筋梗塞による死亡比は、本市では全国よりもずっと少ないことがわかりました(男女とも全国レベルよりも約4割少ない)。脳血管疾患(脳卒中)による死亡比も全国よりも少ない(全国レベルよりも約2割少ない)ことから、脳や心臓の動脈硬化が原因で起こる循環器疾患による死亡は本市では比較的少ないレベルであると結論できます。この背景としては、長年、本市が取り組んできた循環器疾患の予防対策の成果の一つであると考えられます。

 以上のことから、市民の寿命をさらに延ばすためには、循環器疾患予防対策を緩めることなく継続するとともに、1)がんの予防、2)慢性肝炎などの肝臓病の早期発見と予防・治療の徹底、3)腎不全の早期発見と治療、及び腎不全の原因となる糖尿病や高血圧の重症化予防対策が重要であると考えられます。



2.本市の健康寿命の状況~市民が健康で長生きするためには~


 市民の平均寿命は、平成30(2018)年度で男性は81.33歳、女性は87.25歳でした。また、健康寿命については、男性は79.51歳、女性は83.51歳でした。

 

 本市の健康寿命は大阪府内43市町村中、男性は24位、女性は23位と男女とも中位に位置しています。


 ただし、この場合の健康寿命は、介護保険で要介護2~5の認定を受けた時の年齢を用いて計算していますので、もう少し軽い程度の要介護状態や心身の不調により日常生活が制限されている期間を考慮すると、健康寿命はもっと短くなると推察されます(国の統計では、令和元年の健康寿命は男性で約73歳、女性で約75歳と報告されています)。

 また、健康寿命を縮める要因を探るため、令和元(2019)年八尾市要介護認定者等実態調査の結果をみると、介護・介助が必要になった理由としては、認知症が最も多く、次いで高齢による衰弱、骨折・転倒、脳卒中の割合が大きいことが示されています。また、脳卒中、心臓病、糖尿病、がんなどの生活習慣病の割合も合わせると比較的大きいことがわかります。


 以上のことから、市民の健康寿命をさらに延伸させるためには、1)認知症の予防、2)フレイルの予防(フレイルとは、心身が衰弱して介護の必要性が高まっている状態)、3)骨折・転倒の防止、そして、前項(本市の死亡原因の特徴~市民がさらに長生きするためには~)で述べた各病気の予防対策、特に4)脳卒中の予防、5)心臓病、糖尿病、がんの予防を推進することが効果的であると考えられます。



3.特定健診の状況~本市の国民健康保険加入者のデータ分析~


 令和元(2019)年度には、本市の国民健康保険加入者の約13,000人の方が特定健診を受けられました。健診の受診率は32.0%(約3人に1人の割合)と全国の市町村国保の受診率の38.0%よりも6ポイント低い状況です。目標値は60%ですので、もっと多くの方に健診を受けていただきたいです。




(1)身体所見の特徴:メタボや糖尿病が多い!

 メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の該当者の割合は年々増加し、令和元(2019)年度では20.8%を占めています。同年のメタボ予備群の割合は11.8%ですので、メタボの人(該当者+予備群)は約3人に1人の割合となっています。



 さらに詳しく分析した結果、本市では大阪府平均に比べて、
 男性では、以下の傾向がありました。

・肥満が多い

・腹囲が大きい人が多い

・糖尿病の指標であるHbA1c(ヘモグロビンエイワンシー)が高い

・善玉コレステロールと言われるHDLコレステロールが低い

・血圧値が高めの人は少ない





 女性では、以下の傾向がありました。

・肥満が多い

・腹囲が大きい人が多い

・HbA1cが高い

・血圧が高めの人は少ない






 特に、糖尿病の指標であるHbA1cが高めの人は、本市では男性の63.3%、女性の61.7%と6割を超える割合でした。

 以上は、国民健康保険加入者の結果ですが、同じ地域環境や生活環境のもとで生活している他の健康保険加入者についても同様の傾向があると推察されます。


 このことから、本市では、これからも高血圧対策を続けていくとともに、内臓脂肪対策と糖尿病対策に一層取り組む必要があると考えられます。糖尿病は、重症化すると、腎臓の機能が低下して人工透析を受けることになったり、脳卒中や心筋梗塞の発症、視力障害や神経の障害が起きたりと、さまざまな合併症が出現します。したがって、本市では、生活習慣病の中でも、糖尿病の予防と重症化防止につながる取り組みを中心に展開してまいります。





(2)生活習慣の特徴:早食い、酒飲み、睡眠不足が多い!

 令和元(2019)年度の国民健康保険加入者の特定健診の質問票データを詳しく分析した結果、本市は全国に比べて、

 男性では、以下の傾向がありました。

・20歳の時から体重が10kg以上増えている人が多い

・人と比較して食べる速度が速い

・就寝前の2時間以内に夕食をとることが週に3回以上ある人が多い

・毎日お酒を飲む、1日当たり3合以上のお酒を飲む人が多い

・睡眠で休養が十分とれていない






 女性では、以下の傾向がありました。

・たばこを習慣的に吸っている人が多い

・人と比較して食べる速度が速い

・毎日お酒を飲む人が多い

・睡眠で休養が十分とれていない





 要するに、本市では、早食い、酒飲み、睡眠不足が男女共通の課題であり、そのことがメタボや糖尿病が多い原因の一つとなっていると考えられます。

 一方、男女ともに「1回30分以上かつ週2日以上の運動習慣なし」及び「ほぼ同じ年齢の同性と比較して歩く速度が遅い人」は全国よりも少ない結果でした(歩く習慣が身に付いている方が多く、歩くスピードは速い傾向にある)。

 したがって、早食いにならないよう、そして飲酒量が多くならないよう気をつけ、睡眠を十分にとることが望まれます。本市では、栄養、運動、休養などの各習慣ごとに市民の行動目標を掲げて、生活習慣の改善を促してまいります。

 

これらの特定健診の分析結果から見えた健康課題をわかりやすくまとめたページはこちら ⇒(別ウインドウで開く)



4.市民アンケートからみる生活習慣の状況


 令和元(2019)年度に実施した市民アンケート調査の結果をもとに、若年層を含めた市民全体の生活習慣の傾向を分析しました。

 食生活では、バランスの良い食事を1日2回以上摂っている人の割合は、男女ともに、20~39歳、40~64歳で5割に満たない低い割合でした。

 野菜を毎食食べている人の割合は、男女ともに、年齢層が若いほど低い傾向でした。


 塩分を多く含む食品を控えるようにしている人の割合は、男女各年代ともに30~50%台と低率でした。

 運動習慣については、週2回以上の1回30分以上の運動を1年以上継続している人の割合は、男女ともに、20~39歳で最も低い傾向でした。40~64歳でも習慣的な運動の割合は男女ともに20%台と低率でした。


 睡眠で休養がとれていないと回答した人の割合は、20~39歳の男女と40~64歳女性において比較的高く、約3人に1人の割合でした。

 睡眠で休養がとれていない人の割合は、男女ともに1日5時間未満と5~6時間の睡眠時間の人で多いことがわかりました。睡眠時間は少なくとも6時間を確保したいものです。



 喫煙率は、男性で24.5%、女性で7.4%でした。男性の喫煙者の割合は30歳代から50歳代で30%近くと依然高率でした。


 飲酒については、生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している人の割合は、男性の40歳代、50歳代で20%台と高く、30歳代では15%と前回調査時よりも増加していました。


 肥満の割合は、男性では40~64歳と65~74歳で約4割近くを占め、女性では65歳~74歳での肥満の割合が約1/4を占めていました。肥満の割合は男女とも概ね全ての年代で前回調査時よりも増加傾向がみられました。



 肥満が比較的多い年代(男性40-74 歳、女性65-74 歳)において、肥満のグループと適正体重のグループの生活習慣等を比較した結果、肥満グループでは以下の傾向がみられました。

 

・日常生活で意識的に身体を動かすことが少ない

・学校や仕事以外での外出はあまりしない

・階段よりもエスカレーター等の利用が多い(特に高齢男性)

・運動しない理由として足腰が悪いという回答が多い(特に高齢女性)

 

・間食をよく食べる

・野菜を毎食食べない

・大豆製品や海藻・きのこ・こんにゃく類を毎日食べない

・健康を維持するための1食の量とバランスがわからない、自分の食生活には問題が多いと思っている。

・早食いの傾向がある(特に高齢男性)

・主菜、副菜を摂りすぎている(特に高齢女性)

・外食や中食の利用が多い

・外食時や食品購入時に栄養成分表示を参考にしない(特に高齢男性)

 

 以上のことから、本市民においては、男女ともに20~39歳の比較的若い年齢層から食事のバランスがとれていない、運動が少ない、十分な睡眠がとれていない人が多く、さらに壮年期の男性では喫煙率と多量飲酒者の割合が多い傾向が認められました。そうした生活習慣を背景として、男女ともに中高年以降の肥満が多くなっているものと推察されます。

 したがって、市民が若い年代から生活習慣に気をつけ、肥満の防止・解消を図っていけるよう、本市では、食生活や運動などの行動目標を示し、地域や関係機関が支援するよう取り組んでまいります。



5.新型コロナウイルス感染症の流行にともなう生活習慣への影響


 本市の課題である太りやすい生活習慣に対して、新型コロナウイルス感染症の流行による生活様式の変化が追い打ちをかけました。すなわち、令和2(2020)年度に行った市民意識調査の結果、新型コロナの流行の前後で、3割強の人が運動の機会や運動量が減少したと回答されました。また、ぐっすり眠れることが減った人、体の不調を感じることが増えた人、ストレスが増えた人がいずれも増加しました。


 また、1日の間食の回数が増えた、冷凍・レトルト・インスタントの食品による食事の回数が増えた、出前、弁当・惣菜による食事の回数が増えたと回答した人はそれぞれ2割近くを占めていました。

 これらのことから、長引くコロナ禍での外出自粛や在宅時間の増加によって、コロナ太りやメタボに陥った方が多いことが推察されます。

 肥満やメタボリックシンドローム、糖尿病、高血圧が有る人は、新型コロナウイルス感染症にかかった場合に重症化しやすいことがわかっています。すなわち、コロナ禍で肥満や糖尿病、高血圧が発症・悪化し、そのことによってコロナが重症化するといった悪循環に陥ることが懸念されます。

 さらにコロナ禍で同居家族以外の人と話す機会が減少した人の割合は5割近くにのぼったことから、特に高齢者では外出や人との交流が減ることにより、足腰の筋力や認知機能が弱ってフレイル(要介護状態の一歩手前の状態)に近づくことが心配されます。


 コロナとの共生の時代においては、コロナに罹らないよう感染対策をとることが大事なことは言うまでもありませんが、同時に、肥満やフレイルに陥らないよう、生活習慣を健全に保つことが一層重要となってきます。

 本市では、市民の健康づくりと生活習慣病予防を推進していくとともに、高齢期になってもしっかりと身体を動かし、人との関わりを続けることができるようなコミュニティづくりに取り組んでまいります。



6.医療費の状況


(1)国民健康保険医療費

 令和元(2019)年度の国民健康保険加入者(男女0~74歳)約6万人の診療報酬明細書(レセプト)の医療費データを詳しく分析した結果、本市ではこの1年間で入院と外来を合わせて約200億円の医療費がかかっていました。本市の標準化医療費比は大阪府全体を100とした場合、約95とやや少ない傾向でした。(本市と大阪府が同じ人口でかつ同じ年齢分布であると仮定した場合、本市の医療費総額は、大阪府のレベルの約95%と5%ほど少ないということです)。

 生活習慣病別の医療費をみると、本市の標準化医療費比が大阪府よりも多い病名は、胃がん、子宮がん、糖尿病、虚血性心疾患、動脈硬化症、腎不全、関節症であり、このなかでも金額的に大きいのは、腎不全(約16億8千万円)と糖尿病(約11億5千万円)の医療費でした。これらの医療費が大阪府のレベルまで下がると、腎不全で約2億8千万円、糖尿病で約5千万円の医療費が削減できると試算されました。

 逆に医療費のレベルが比較的少ない病名は、大腸がん(結腸がん及び直腸がん)、肺がん、乳がん、脂質異常症、高血圧性疾患、脳出血、脳梗塞でした。

 以上のことから、医療費適正化の観点から、腎不全と糖尿病の予防は特に重要であると考えられます。



(2)後期高齢者医療費

 本市の後期高齢者約3万8千人の医療費は、令和元(2019)年度の1年間で入院と外来を合わせて約320億円の医療費がかかっていましたが、その標準化医療費比は大阪府全体を100とした場合、約92と少ない傾向でした。

 生活習慣病別の医療費では、本市の標準化医療費比が大阪府よりも多い病名は、動脈硬化症と虚血性心疾患、結腸がん(大腸がん)、アルツハイマー病でした。金額的には、腎不全(約21億円)、糖尿病(約14億6千万円)、高血圧性疾患(約11億4千万円)、虚血性心疾患(約8億9千万円)、関節症(約9億6千万円)、アルツハイマー病(約8億7千万円)の医療費が高額でした。

 一方、脳出血及び脳梗塞の標準化医療費比は、大阪府のレベルよりも大きく抑えられていました。

 特に高齢者では、いずれの病気でも重症化して長期入院になると、フレイル(要介護状態の一歩手前の状態)が一気に進み、要介護状態に陥ってしまう危険性が高まります。

 医療費の適正化や介護費用の抑制のためにも、若い頃から生活習慣に気をつけて、腎不全、糖尿病、高血圧、虚血性心疾患などの生活習慣病の発症予防と重症化防止を図ることが大切です。




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八尾市健康福祉部健康まちづくり科学センター

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