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八尾市版糖尿病発症リスク予測チャートの開発

[2024年1月17日]

ID:72573

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健康まちづくり科学センターでは、健診、介護、医療等のデータ分析を行っており、その結果、八尾市では、(1)糖尿病の検査項目の一つであるヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)の高い人の割合が大阪府や国レベルよりも多い、(2)糖尿病関連の医療費が高い、(3)糖尿病は全死亡、フレイル、要介護認知症、新型コロナウイルス感染症重症化の共通した危険因子であることがデータ分析の結果でわかりました。そのため、糖尿病予防に重点的に取り組む「八尾市健康づくり大作戦!(糖尿病対策)」を展開中です。

その一環として、未だ糖尿病になっていない人がご自身の特定健診結果を当てはめると、近い将来に糖尿病を発症する確率が計算される糖尿病発症予測リスクチャートを開発しました。


14年間の約5万人の特定健診データを分析

そもそも糖尿病とはどういう状態を指すのでしょうか。今回の分析では、以下の定義にあてはまる人を糖尿病と判定しました。


今回、八尾市国民健康保険の40~74歳の約5万人分の特定健診データ(2008~2021年度、14年間)を用いて、図1に示す流れで分析を行いました。

 すなわち、この間に特定健診を受診した49,916人のうち、初診時に糖尿病にかかっておらず、かつ次年度以降に健診を受診した31,152名の健診結果をフォローした結果、平均3.87年間で糖尿病が発症した人は2,829名、発症しなかった人は28,323名でした。この糖尿病発症者と非発症者の年齢、BMI(肥満指数)、喫煙、腹囲、尿糖、HbA1c、脂質異常症の有無、高血圧症の有無の各データを、COX回帰分析という統計手法を用いて分析して、糖尿病発症の危険性の大きさ(ハザード比)を推定しました。




糖尿病になりやすい人は、(1)ヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)が5.6%以上、(2)尿糖が出ている、(3)標準体重オーバー、(4)喫煙している、(5)高血圧、(6)脂質異常症の人

分析結果の一部を表1に示します。




この表の見方は、年齢を例にとると、糖尿病発症の危険性の大きさ(ハザード比)は、40~49歳の危険性を1とした場合、50~59歳では1.20倍、60~69歳では1.36倍、70~79歳では1.91倍高いことを表しています。この結果から、糖尿病発症の危険性が大きくなる所見は、年齢以外に、1) BMI(肥満指数)が高くなること、2) 喫煙あり、3) 尿糖±以上、4) ヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)が高くなること、5) 高血圧あり、6) 脂質異常症ありでした。

特に、過去1~2ヶ月間の平均血糖値を反映するとされるヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)については、5.6%未満を1とした場合、5.6~5.7%で1.96倍、5.8~5.9%で3.46倍、6.0~6.4%で11.77倍と糖尿病発症の危険性が段階的に大きくなることが明らかとなりました。すなわち、ヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)は5.5%以上になると、わずかな数値の上昇でも糖尿病が発症する危険性が高くなるため、ヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)の変化には十分に注意していただきたいです。



糖尿病発症リスク予測チャートを活用しましょう

表1をもとに、年齢、BMI(肥満指数)、喫煙、尿糖、ヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)、脂質異常症の有無、高血圧症の有無の各々の糖尿病発症の危険性の大きさ(ハザード比)に対応したリスク点数を統計的に決定し、その合計点数から、1、3、5年後の糖尿病発症確率を算出しました。そして、図2に示す八尾市版糖尿病発症リスク予測チャートが完成いたしました。



例えば、合計点数が8点だと、1年後の糖尿病発症は11.7%(100人中約11人が糖尿病を発症する)、3年度は30%(約3人に1人)、5年後は45.4%(約2人に1人)となります。大事なことは、今の状態がそのまま続いた場合の1、3、5年後の糖尿病発症確率ですので、確率が高い場合は、今の状態を一つでも改善すると確率が下がるということです。年齢を減らすことは出来ませんが、肥満を解消する、ヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)を下げるよう食事や運動に気をつける、禁煙する、高血圧や脂質異常症を改善することで確率は下げられます。

この予測チャートには糖尿病の家族歴や食生活、運動などの生活習慣が項目に入っていないという限界がありますが、家族歴や生活習慣の影響はヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)の数値に反映されるとお考えください。

市民のみなさまには、毎年健診を受けてヘモグロビンエーワンシー(HbA1c)をチェックしながら、この予測チャートから計算される糖尿病発症確率を参考にして、糖尿病予防のための生活習慣改善につなげていただきたいと願っております。


詳しくは、糖尿病発症リスクを計算してみましょう!(別ウインドウで開く)のホームページをご覧ください。

 



<学術発表>

1.孫 智超、北村 明彦、村木 功、羽山 実奈、北川 瞳、花岡 純、髙山 佳洋.糖尿病予防推進を目指した糖尿病発症予測リスクチャート(八尾市版)の開発.第82回日本公衆衛生学会総会(つくば).口演.R5.10.31.

お問い合わせ

八尾市健康福祉部健康まちづくり科学センター

電話: 072-994-0665

ファックス: 072-922-4965

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