由義寺(ゆげでら)
あらまし
由義寺は八尾出身の弓削道鏡と称徳(しょうとく)天皇(※1)が造営に深く係わった寺院で、道鏡の出身である弓削氏の氏寺であった弓削寺を769年の称徳天皇による「西京(※2)」(「平城京」や「難波京」と同様の「都」)の設置にあわせて、整備が進められ、改称されたものと考えられます。
なぜ、寺の名前がわかるのか
奈良や京都にある寺院は、古くから伝わる名称が伝わっていますが、発掘調査で見つかる寺院跡の多くは、史料がないため、名前がわからないものがほとんどです。
しかし、由義寺は、日本の正史である『続日本紀(※3)』の770年の条に「詔(みことのり)して 由義寺の塔を造る諸司(しょし)の人及び雑工(ざふく)等九十五人に、労の軽重に随い、位階を加え賜う。」とあり、「由義寺」という名前の寺院があることが明らかになっています。また、天皇が塔の造営に携わった95人に功労に応じて位階を与えたことから、塔の造営が実際に進められていたことがわかります。
幻の寺
由義寺は『続日本紀』に記載されていて存在していたことは明らかでしたが、その後の長い歴史に埋もれ、所在については不明なことから、幻の寺といわれるようになりました。
用語補足
- ※1 称徳天皇…第48代天皇(在位764年~770年)。孝謙天皇(第46代天皇)として即位した後、譲位して孝謙上皇となったが、再び称徳天皇として即位した女性天皇。以降、江戸時代の初頭まで女性天皇は即位していない。
- ※2 西京…平城京の副都として位置付けられた。
- ※3 続日本紀…「しょくにほんぎ」。国家事業として作成された歴史書(正史)で、691年~791年までを扱う奈良時代の基本資料。
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