三六巻 国史跡 高安千塚古墳群・中 その(2) 誰のお墓?
前回紹介したように、高安千塚は、非常に大きな力を持った人々のお墓であったと考えられますが、具体的にどのような氏族のお墓だったのでしょうか。
これについては考古学研究の大きなテーマとなっており、物部氏ではないか、また渡来系氏族ではないかなど、多くの説がありますが、これまでの調査から、誰のお墓であるかのヒントとなる鍵がいくつかあるようです。

一つは、石室の大きさからうかがえる経済力や政治力の大きさです。次に、石室から出土した渡来系の副葬品です。高安千塚の初期の石室である郡川16号墳からは、韓式系(かんしきけい)土器という朝鮮半島のものとよく似た土器が出土しています。また、小さなかわいい鍋と竈(かまど)の土器が見つかっていますが、これらは実用品ではなく、ミニチュアの模造品で、葬送のお祭り用に作られたものです。このような土器は、滋賀県の志賀古墳群など、渡来系氏族のお墓で多く出土します。
当時の八尾・中河内は、朝鮮半島の国々をはじめとする海外からの重要な玄関口でした。実際に、市内のこれまでの発掘調査で在地の土器とともに、韓式系土器も多く出土しています。このことから、この地域が渡来人の新たな技術や生活様式を受け入れ、大変発展していたことがうかがえます。
まだまだ謎は多いですが、224基の古墳から成る高安千塚古墳群は、八尾を中心とする中河内を拠点とし、経済的・政治的にも大きな力をもった有力氏族のお墓であったことは間違いないでしょう。【続く】
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