コロナ禍における住民の皆様の健康状態に関する調査結果 新型コロナウイルス感染症の罹患後症状(いわゆる後遺症)

ページID1008412  更新日 令和7年1月30日

印刷大きな文字で印刷

新型コロナウイルス感染症(新型コロナ)の流行は、市民の日常生活や健康に少なからず影響を及ぼしてきました。加えて、医療機関の受診控えや生活習慣の変化等により健康への長期的な影響を及ぼす可能性が指摘されていますが、その実態は不明な点が多くあります。

八尾市は、令和4年度に国の「新型コロナウイルス感染症による他疾患を含めた医療・医学に与えた影響の解明に向けた研究(厚生労働科学研究令和4年度 研究代表者 門田守人、分担研究者 磯博康)」の一環として、国立国際医療研究センターと共同で「コロナ禍における住民の皆様の健康状態に関する調査」(アンケート調査)を実施いたしました。その結果が令和5年9月15日に公表され、国立国際医療研究センターより、この研究の結果報告がありましたので、市民の皆様に分かりやすくお知らせいたします。

また、分担研究者である国立国際医療研究センター グローバルヘルス政策研究センター長の磯 博康氏(写真向かって右)が、本市を訪問され、本市および市民のみなさまへの研究協力への感謝を市長に伝えられました。

集合写真

1.調査の概要

新型コロナに感染した人と感染していない人の健康状態や暮らしについて調査

八尾市在住の5歳から79歳のうち、令和3年3月(第4波)〜令和4年4月(第6波)に新型コロナに感染した人(17,450人)および感染していない人(17,397人)を対象に、令和4年11月に調査の案内を郵送し、インターネット(5歳から59歳)または紙面(60歳から79歳)を用いて健康状態や暮らしについてのアンケート調査を行いました。

2.成人(18歳から79歳)の主な結果

新型コロナに感染した人(感染者)4,278人(有効回答率32.0%)および感染していない人(非感染者)3,382人(有効回答率25.4%)について分析した結果は以下のとおりです。

新型コロナ感染後に長引く症状(罹患後症状)がある人は15.0%

感染者のうち、感染後に出現し、少なくとも2か月以上続き、感染から3か月経った時点でもみられる症状(罹患後症状)があった人の割合は15.0%でした。非感染者の2か月以上続く症状の割合(4.4%)に比べて約3倍多い結果でした。

写真:1つ以上の疾患後症状の有無

感染者で多くみられた罹患後症状は、多い順に「疲労感・倦怠感」、「睡眠障害」、「集中力の低下」、「息切れ・息苦しさ」でした。一方、非感染者で2か月以上続く症状は、「睡眠障害」がもっとも多く、続いて「疲労感・倦怠感」でした。

写真:罹患後症状

罹患後症状が、どの程度、現在の生活に支障をきたしているかを尋ねたところ、半数以上が何らかの支障があると回答しました。

新型コロナに感染後、罹患後症状があった人において、経済状況がとても悪くなったと回答した人は12.3%であり、非感染者の6.1%に比べて多くみられました。

ワクチンを接種していない人より接種した人のほうが罹患後症状のある人の割合が少ない

新型コロナワクチンを接種した人は、接種していない人に比べて、新型コロナに感染する頻度は7割少ない結果でした。また、新型コロナ感染者のうち、感染前に新型コロナワクチンを接種した人では、接種していない人に比べて、罹患後症状の頻度が5割強少ない結果でした(ワクチン未接種者での罹患後症状の頻度を1とした場合、ワクチン接種者での罹患後症状の頻度は0.44)。すなわち、(2回以上の)ワクチン接種は感染予防および罹患後症状の抑制に効果的であることが示唆されました。

写真:新型コロナウイルスワクチン未接種を1とした場合の罹患後の症状の発症頻度

食事、運動、禁煙、節酒などの生活習慣の改善を続けるとともに、特定健診等を受診し、高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームなどの危険因子の評価と保健指導や適切な治療を受けましょう。

3.小児(5歳から17歳)の主な結果

新型コロナに感染した人(感染者)1,800人(有効回答率44.0%)および感染していない人(非感染者)1,341人(有効回答率32.8%)について分析した結果は以下のとおりです。

新型コロナ感染後に長引く症状(罹患後症状)がある人は6.3%

感染者のうち、感染後に出現し、少なくとも2か月以上続き、感染から3か月経った時点でもみられる症状(罹患後症状)があった人の割合は6.3%でした。非感染者の2か月以上続く症状の割合(2.2%)に比べて約3倍多い結果でした。

年代別では、5~10歳に比べて11~17歳の方が罹患後症状の頻度が多い結果でした。

グラフ:年代別

感染者で多くみられた罹患後症状は、多い順に「咳」、「疲労感・倦怠感」、「味覚障害」、「頭痛」でした。一方、非感染者で2か月以上長引く症状は、「皮膚の発疹」がもっとも多く、続いて「睡眠障害」でした。

写真:罹患後症状2

罹患後症状が、どの程度、現在の生活に支障をきたしているかを尋ねたところ、半数以上が何らかの支障があると回答しました。

新型コロナに感染後、罹患後症状があったお子さんにおいて、遅刻・早退・欠席といった状態が増えたと回答した人は17.5%であり、罹患後症状がなかったお子さんの3.9%や非感染者の8.7%と比べて多くみられました。

ワクチンを接種していない人より接種した人のほうが罹患後症状のある人の割合が少ない

新型コロナワクチンを接種した人は、接種していない人に比べて、新型コロナに感染する頻度は約7割少ない結果でした。また、新型コロナ感染者のうち、感染前に新型コロナワクチンを接種した人では、接種していない人に比べて、罹患後症状の頻度が約5割少ない結果でした。(ワクチン未接種者での罹患後症状の頻度を1とした場合、ワクチン接種者での罹患後症状の頻度は0.53)。これらの結果から、成人と同様に小児においても、ワクチン接種は感染予防および罹患後症状の抑制に効果的であることが示唆されました。

写真:新型コロナウイルスワクチン未接種を1とした場合の罹患後症状の発症頻度2

4.報告書など

調査の方法や結果の詳しい内容は以下の報告書をご覧ください。

(1)国立国際医療研究センター国際医療協力局グローバルヘルス政策研究センター編.令和5年10月コロナ禍における住民の皆様の健康状態に関する調査報告書‐大阪府八尾市‐.令和5年10月発行.

(2)第56回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会・第79回厚生科学審議会感染症部会 資料

(3)令和5年度厚生労働行政推進調査事業費補助金 新興・再興感染症及び予防接種政策推進研究事業一類感染症等の患者発生時に備えた臨床対応及び行政との連携体制の構築のための研究(研究代表者 加藤康幸).新型コロナウイルス感染症(COVID-19)診療の手引き 別冊 罹患後症状のマネジメント(第3.0版).2023年10月20日発行.

同手引きの中で、八尾市の調査結果が紹介され、罹患後症状に悩む患者さんの診療や相談にあたる、かかりつけ医等や医療従事者、行政機関に活用されています。

(4)「小児におけるCOVID-19感染後の罹患後症状の発生率とリスク要因の検討:一般住民におけるケースコントロール研究」として国立研究開発法人 国立国際医療研究センターより結果が公開されました。

(5)「成人におけるCOVID-19罹患後症状の頻度と 関連要因の検討:地域住民におけるケースコントロール研究」として国立研究開発法人 国立国際医療研究センターより結果が公開されました。

PDFファイル閲覧ソフト「Acrobat Reader」はアドビシステムズ社(新しいウィンドウ)からダウンロードできます。

ご意見をお聞かせください

このページは役に立ちましたか?
このページは見つけやすかったですか

このページに関するお問い合わせ

健康福祉部 健康まちづくり科学センター
〒581-0006大阪府八尾市清水町1-2-5
電話番号:072-994-0665 ファクス番号:072-922-4965
お問い合わせは専用フォームをご利用ください。