二一巻 河内名所図会を訪ねて その9「名所図会のその後」

『河内名所図会』は、秋里籬島(あきさとりとう)による現地調査に基づく詳しい解説文だけでなく、丹羽桃渓(にわとうけい)が描いた写実性の高い挿絵が伝える江戸時代の分かりやすい観光ガイドブックとして、『都(みやこ)名所図会』をはじめとするほかの地域の名所図会と共に人気を博しました。
河内名所図会では、江戸時代の郡ごとに寺社や史跡、名勝などの名所が紹介されています。

そのうち挿絵は、八尾市域に限ると、渋川郡では大聖勝軍寺(だいしょうしょうぐんじ)と顕証寺、若江郡では常光寺とその門前、大信寺、木村重成の墓があります。

最も多く挿絵が掲載されている高安郡では、高安千塚、法蔵寺、教興寺、恩智神社、天照大神高座(あまてらすおおみかみたかくら)神社、玉祖(たまおや)神社、十三峠(じゅうさんとうげ)、さらには名産の河内木綿や在原業平(ありわらのなりひら)の物語の場面などもあり、八尾歴史物語ではこれまでいくつかを取り上げてきました。
明治時代、日本を訪れた外国人たちが名所図会を参考にして高安千塚を訪れたことは有名です。
その後、『日本名勝地誌』などの地誌や鉄道の沿線案内が刊行され、市域の名所が紹介されるようになります。
紹介された場所や内容は名所図会をほぼ踏襲しており、現地の写真を使用したものは少なく、名所図会の挿絵に勝るものは無かったようです。
むしろ、大正から昭和にかけて活躍した吉田初三郎が描いた鳥瞰図(ちょうかんず)による全国各地のパノラマ風の観光案内図に代表されるように、絵が果たした役割は大きかったようです。
皆さんも、河内名所図会を片手に、現代に残る寺社や史跡を散策してみてはいかがでしょうか。きっと何か発見が待っていることでしょう。
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