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由義寺跡 国史跡指定に

[2019年10月4日]

ID:40494

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八尾市3件目の国史跡指定

国史跡指定について

 国の文化審議会は、平成29年11月17日に開催された同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、文部科学大臣に対して、「由義寺跡(ゆげでらあと)」を国史跡に指定することについて答申しました。
 そして、平成30年2月13日の官報告示により「由義寺跡」が国史跡に指定され、「心合寺山古墳」、「高安千塚古墳群」につづき、本市3件目の国史跡になりました。

指定答申のポイント

 道鏡の出身氏族である弓削氏の本拠地と考えられる寺跡で、発掘調査により検出された一辺約20mの大規模な塔の基壇は、『続日本紀』にみえる「由義寺塔」と考えられ、その規模は諸国の国分寺の規模をしのぎ、大安寺(奈良市)の七重塔の規模に匹敵します。
 基壇周囲から出土した大量の瓦は奈良時代後半のもので、東大寺式と興福寺式といった官の造営による寺に葺かれた軒瓦が多数含まれています。このことは、『続日本紀』宝亀元年(770年)4月5日条から分かる官造営機構の動員による塔の造営を裏付けるものと評価されます。
 さらに、塔の周辺では同時期の他の建物は検出されておらず、これは宝亀元年(770年)8月21日に道鏡が造下野国薬師寺別当となったことと関係する可能性があります。こうしたことから、発掘された塔跡は、称徳天皇の発願による由義寺の塔であると考えられます。
 由義寺跡は、弓削氏の氏寺として成立しますが道鏡の台頭によって、奈良時代後半には西京(にしのきょう)における官寺として塔の造営が行われたと考えられ、その動向は、奈良時代後半における政治・社会情勢を反映していて、称徳天皇と道鏡による政策を知るうえでも重要です。

学識者のコメント

瀧浪貞子 (八尾市文化財保護審議会委員・京都女子大学名誉教授)

 弓削氏の氏寺であった弓削寺は、一族の道鏡が孝謙太上天皇に抜擢されたことによってクローズアップされるようになる。そして、弓削宮とともに文字を「由義宮」・「由義寺」に改め、近辺の宅地を買収し壮麗な寺院として拡張整備される。孝謙は由義の地を平城京に匹敵する都にしようとしたのであり、由義寺はさしずめ由義宮の“東大寺”であったといってよい。孝謙(重祚して称徳天皇)にとって由義寺は、女帝と法王道鏡とによる共治体制、神仏習合政治を確立する手段であり、「由義宮」・「由義寺」はその拠点づくりでもあった。
 このように政治的・文化的に重要な意味を持ちながら、「由義宮」・「由義寺」については『続日本紀』に具体的な記事が見えないことから、これまで「幻の宮」・「幻の寺」とされてきた。しかし、昨年からの発掘調査の結果、由義寺の遺構が確認され、しかも発見された塔の基壇は東大寺には及ばないものの、大安寺に匹敵する巨大な七重塔を伴っていたことが明らかとなった。
 道鏡の時代はわずか4、5年で終わってしまったが、称徳・道鏡の存在が良くも悪くもその後の歴史を方向づけたことは確かである。その意味で、今回、国史跡に答申されたことはまことに意義深い。これまで殆ど評価されることのなかった「由義寺」を歴史の中に位置づけ、その役割と意味を明らかにすることによって「由義宮」に対する理解を含め、新たな古代史像が浮かび上がってくることは間違いない。

木下正史 (東京学芸大学 名誉教授)

 由義寺は『続日本紀』に記載があるのみで、その所在は全く謎に包まれていた。塔跡の発見によって由義寺の所在地が明確になり、さらに塔が国家寺院の象徴である壮大な七重塔であった意義は大きい。
 称徳天皇は、父・聖武天皇にならって平城宮の西方に西大寺や西隆寺の壮大な伽藍を建設するとともに、道鏡を寵愛して法王に任じ、天皇に立てようとした。そして、道鏡の本拠地である河内国弓削の地に、由義宮(西京)と由義寺の建設を進めた。
 由義寺は、奈良時代後半の仏教文化の展開と、称徳天皇と道鏡とによる仏教理念に基づく政治の具体像を知る上でもかけがえのない遺跡である。
 今回、国史跡に答申され、保存が図られることになったことは喜ばしく、たいへん意義深い。今後は、他の堂などの存否も含めた伽藍全容の解明が急がれる。
 最近、塔跡の東北方で、由義宮や由義寺の建築資材を運び込むために掘削した大規模な人口運河や大型建物が発見され、由義宮の所在地の解明が進展した。
 今後、由義寺とともに、由義宮の全容の解明が進められ、由義宮と由義寺との関係、さらには平城宮・平城京との関係の解明が進展することを期待したい。

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