ヒトにうつる感染症の知識を持ちましょう 動物由来感染症
動物由来感染症について知っていますか
「動物由来感染症」とは、動物から人に感染する病気の総称です。
過度に恐れるのではなく、正しい知識を持ち、適切な手洗い等衛生管理を行うことで感染リスクを下げることが重要です。
動物由来感染症について知り、動物との共生を図りましょう。
動物由来感染症を予防するために
- 動物に触れた後は必ず手洗い等を行いましょう。
- 公園や砂場で遊んだ後は必ず手を洗いましょう。
- 野生動物の家庭での飼育や屋外での接触は避けましょう。
ペットを飼育している方へ
- 普段からペットの健康管理を行い、必要に応じて動物病院に相談しましょう。
- 口移しでエサを与える、食器を共有するなどペットとの過度な接触はやめましょう。
- ペットを布団に入れて寝ることも濃厚接触につながるので要注意です。
- ペットに生肉を与えてはいけません。
- ペットの糞尿は速やかに処理し、ペットの身の回りを清潔に保ちましょう。
- 人の傷口をペットになめさせないようにしましょう。
ペットに咬まれたりひっかかれたりしたら早急に傷口を水で洗い流しましょう。
※ペットが人にも感染する恐れのある病気に感染した場合、ペットのお世話をする際は手袋やマスクを着用し、お世話の後は必ず手洗い等を行いましょう。
海外渡航される方へ
海外では日本国内で発生のない動物由来感染症が発生していたり、感染リスクが高いことがあります。
ワクチン接種が推奨されている感染症もあります。接種に一定期間を要する場合もあるので、渡航直前ではなく余裕を持って(できるだけ出発3か月以上前から)医師に相談しましょう。
帰国後に体調不良を感じた場合は渡航歴や渡航中の動物との接触状況等についても医師に報告しましょう。
主な動物由来感染症と人が感染した場合の症状
動物由来感染症に人が感染した場合、ほとんどが風邪やインフルエンザ、ありふれた皮膚病に似た症状が出る場合が多く、病気の発見が遅れがちです。
小さな子どもや高齢者、免疫力が低下している場合は重症化の恐れがあるので注意しましょう。
体の不調を感じたら早めに医療機関を受診しましょう。その際、ペットの飼育状況や健康状態、ペットやその他の動物との接触状況なども医師に伝えましょう。
犬・猫由来の感染
狂犬病
感染経路等
狂犬病にかかった動物(主に犬)に咬まれた際、動物の唾液中に含まれるウイルスが傷口から侵入することで感染。
狂犬病は日本・オーストラリア・ニュージーランド・スカンジナビア半島の一部の地域などを除いて世界中で発生している。
日本の犬や人での発症は1956年以降ないが、海外の狂犬病発生地域で犬に咬まれ、帰国後発症したという例がある。
動物の症状
行動異常、興奮状態、知覚過敏ののち全身の麻痺、嚥下困難、流延、昏睡状態になり死亡。
人の症状
発熱、食欲不振の後、不安感、恐水・恐風症状、興奮、幻覚、精神錯乱などの神経症状、昏睡、呼吸障害によりほぼ100%死亡。
- ※狂犬病の犬に咬まれた後のワクチン接種(暴露後ワクチン)で発症を抑えることができるので狂犬病発生国で動物に咬まれた場合は早急に医療機関を受診する。なお、狂犬病発生国で頻繁に動物に接する場合や、奥地・秘境などへの渡航ですぐに医療機関にかかることが難しい場合は渡航前にワクチンを接種することが望ましい。
- ※狂犬病は日本では長らく発生していないが、人や物の往来が盛んな現代では、いつ日本に狂犬病が持ち込まれても不思議ではなく、実際、2013年には狂犬病の発生がなかった台湾でも約50年ぶりに狂犬病が発生した。万が一日本で狂犬病が発生したときに、人と動物の命を守るために毎年1度狂犬病の予防注射を受けさせることが重要。
- 飼い犬登録の手続き
- 飼い犬登録手続き(マイクロチップ情報を環境大臣指定登録機関に登録する場合)
- 飼い犬登録手続き(マイクロチップ情報を環境大臣指定登録機関に登録しない場合 または マイクロチップを装着していない場合)
- 狂犬病予防注射の手続き(マイクロチップ情報を環境大臣指定登録機関に登録している場合)
- 狂犬病予防注射の手続き(マイクロチップ情報を環境大臣指定登録機関に登録していない場合 または マイクロチップを装着していない場合)
パスツレラ症
感染経路等
犬や猫の口腔内常在菌による感染症。動物に咬まれて感染。経気道感染もある。
動物の症状
犬や猫は通常無症状。
人の症状
一般的には傷口の痛み、赤く腫れる(蜂窩織炎になることもある)、風邪様症状など軽症。重症の場合、骨髄炎や敗血症、肺炎など。
猫ひっかき病
感染経路等
バルトネラ菌をもつノミの吸血によって犬や猫に感染。動物によるひっかき傷や咬み傷から人に感染する。
まれに保菌猫を吸血したネコノミから感染。
動物の症状
犬や猫は通常無症状。
人の症状
傷口の腫脹(丘疹、水疱など)、発熱、リンパの腫脹など。通常予後は良好で自然治癒する。
カプノサイトファーガ感染症
感染経路等
犬や猫の口腔内常在菌による感染症。咬まれたりひっかかれたりすることで感染する。
動物の症状
犬や猫は通常無症状。
人の症状
発症はまれ。発熱、倦怠感、吐き気などを前駆症状として重症化することもある。
重症化した場合は髄膜炎や敗血症など。
コリネバクテリウム・ウルセランス感染症
感染経路等
犬や猫との接触やその飛沫による感染が強く疑われた事例がある。その他、牛などの家畜との接触や殺菌されていない生乳の接種により感染したという報告もある。
動物の症状
咳やくしゃみ、鼻水、皮膚炎など。
人の症状
ジフテリアに類似。呼吸器感染症の場合、風邪様症状の後、咽頭痛、咳、扁桃や咽頭に偽膜形成や白苔(白い膜のようなもの)を認めることがあり、重症化すると呼吸困難、死に至ることもある。
その他、頸部リンパ節種腫脹や皮膚症状が見られることもある。
ブルセラ症
感染経路等
犬同士では主に交尾感染し、生殖器等で菌が増殖。感染犬は死流産を起こして流産胎児や排泄物中、尿や精液に排菌する。
人はそれらに接触したり、飛沫等を吸入することで感染する。
飼い犬が流産した場合の処理は慎重に行う必要がある。
動物の症状
多くの場合無症状。雌では妊娠後期に死流産。雄では精巣や精巣上体、前立腺の腫脹ののち精巣委縮など。
人の症状
一般的には倦怠感、発熱、関節痛など。関節炎やリンパ節腫脹、脾腫、肝腫、中枢神経症状が見られることもある。
鳥類由来の感染症
オウム病
感染経路等
インコ、オウム、ハト等鳥類の糞に含まれる菌を吸い込んだり、口移しで食べ物を与えたりすることによって感染する。
動物の症状
鳥類は通常無症状。
人の症状
発熱、頭痛、倦怠感、食欲不振、筋肉痛など。呼吸器症状として咳や痰など。重症化すると呼吸困難や意識障害など。
クリプトコックス症
感染経路等
土壌など環境中に存在する真菌感染症。ハトなど鳥類の糞で増殖し、感染源の一つになる。
菌を吸い込んだり、皮膚の傷口から菌が侵入して感染する。
動物の症状
鳥類は通常無症状。
人の症状
肺クリプトコッカス症の場合、通常は無症状。免疫力が低下している場合は慢性肺疾患。
皮膚クリプトコッカス症の場合、皮疹など。
脳髄膜炎を発症した場合、発熱や頭痛などを示し、神経症状が見られることもある。
カメ等爬虫類由来の感染症
サルモネラ症
感染経路等
通常は、サルモネラ菌に汚染された食品を介して感染する。
その他、カメなどの爬虫類もサルモネラ菌を保有しており、飼育中の爬虫類を触ったり、飼育箱を洗浄した人の手指に付着した菌が口に入ることで感染する。
動物の症状
爬虫類は通常無症状。
人の症状
多くの場合急性胃腸炎症状が見られる。まれに小児では意識障害、けいれん、菌血症、高齢者では急性脱水症状及び菌血症により重症化することがある。
野生動物由来の感染症
エキノコックス
感染経路等
寄生虫の虫卵が手指、食物、水等を介して口から入ることで感染する。
北海道のキタキツネが主な感染源、放し飼いの犬が野ネズミを捕食して感染することもある。
動物の症状
犬は通常無症状だが、まれに下痢をすることもある。肉眼で虫卵判別不可(1~3mm)。
人の症状
感染後、数年から十数年ほど経過して自覚症状が現れる。上腹部の不快感、膨満感、進行すると肝機能障害、黄疸など。
※エキノコックス発生地域では、野山から帰ったら手を良く洗う、沢や川の生水は飲まない(煮沸する)、山菜や野菜・果物は良く洗ってから食べるなどの感染予防が重要。
レプトスピラ症
感染経路等
野生げっ歯類(ネズミなど)が病原体を保有。池、沼地、湿地など湿潤環境に菌が生存しており、狩猟犬や川に入ることの多い犬、野生げっ歯類を食べる恐れのある犬や猫も感染の恐れがある。
人は汚染された土壌や水、感染動物の尿などから経皮または経口感染する。
動物の症状
発熱、震え、嘔吐、口内や口唇、結膜出血、黄疸、肝不全、嘔吐、脱水など。重度の場合死亡率が高い。
※菌が生息する環境になるべく立ち入らないようにすることが望ましいが、野生動物と接する機会がある犬や川に入ることがある犬はワクチン接種が必要か動物病院に相談する。
人の症状
発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛、結膜充血など。重症の場合は黄疸、出血、腎機能障害など。
節足動物(蚊やマダニなど)由来感染症については保健予防課のリンク先ページをご参照ください。
参考文献等
厚生労働省
国立感染症研究所
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健康福祉部 保健衛生課
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