[2021年3月5日]
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私たちの毎日の食生活に欠かせない台所用品といえば、炊飯器をまず思い浮かべますが、一昔前までは「かまど」でご飯を炊いていたことは、よくご存知のことと思います。それでは、このかまどはいつごろにできたのでしょうか。
実は、高安山の山麓(さんろく)にある古代の古墳群「高安千塚(せんづか)」からも、そのヒントとなる出土品が発掘されています。高安千塚は6世紀代に造られた220基余りの横穴式石室の古墳群ですが、この中の郡川16号墳から、実用品ではないミニチュアのかまどと鍋が出土しています。このようなミニチュア炊飯具をお墓に供える古墳は、朝鮮半島からわが国にやってきた渡来人の墓に多く見られるものです。これは、かまどというものが元来、日本には無く、5世紀以降に朝鮮半島から渡来した人々がもたらしたものであることと関連しています。それまでの日本では、土器を炉の火に直接かけて調理していましたが、渡来人によって、持ち運びできる土製のかまどや作り付けタイプのかまどのほか、これに載せる取っ手付きの鍋、甑(こしき)といわれる蒸し器として使う土器がもたらされました。土製のかまどは、萱振遺跡や成法寺遺跡などで出土しています。
これらの新たな「台所用品」は、効率よくおいしいご飯を炊くことのできるものとして、当時の人々の食生活を大きく変える出来事であったと見られ、急速に普及していったようです。
古代の遺跡には、現代につながる人々の暮らしの物語がたくさん秘められています。
【PDFデータ】八尾歴史物語 四巻~古代のくらし【上】 「高安千塚」と「かまど」~
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