二二巻 ~えきちか(駅近)古墳発見!東郷遺跡~
大阪府内で古墳といえば、世界遺産候補の古市(ふるいち)・百舌鳥(もず)古墳群が有名ですが、八尾市内にも、国史跡心合寺山(しおんじやま)古墳や高安千塚(せんづか)古墳群をはじめ多くの古墳があります。
現在、山すそでは約300基以上が、市街地の平野部でも約200基以上の古墳が発掘調査で確認されています。
←出土した古墳(写真上部は西武百貨店)
今回は、平野部で見つかった古墳のうち、駅から近いものについて紹介します。
近鉄八尾駅の改札を出て右側の陸橋を歩いていくと、西武百貨店の隣に文化会館があります。
この施設は、八尾市の芸術文化の拠点として昭和61年に建てられましたが、事前の発掘調査では、古墳時代の初めごろ(3世紀後半.4世紀初頭)の古墳が7基発見されました。
これらは一辺10mぐらいの四角い形の古墳で、墳丘(ふんきゅう)を取り巻く溝の中からお墓に供えられた甕(かめ)や壺などの土器が見つかっています。
これらの古墳が造られたのは、ヤマト王権が成立した時代で、大和盆地南東部の纒向(まきむく)遺跡(現在の奈良県桜井市付近)の地に、これまでにない規模の巨大な前方後円墳である箸墓(はしはか)古墳が造られた時期でもあります。
この時代の八尾は、河内湖といわれる湖が上町台地の東側に広がり、この湖に注ぐ河川が形成した肥沃(ひよく)な土地に多くの集落が営まれていたことが、東郷、中田、久宝寺などの遺跡の発掘調査から分かってきました。
文化会館建設時の発掘調査で出土した古墳は、東郷遺跡付近で集落を営んだ人々のお墓であったと考えられます。
これらの古墳を現在見ることはできませんが、近鉄八尾駅の噴水広場の東側には、東郷遺跡についての説明板が立てられています。